シューレ大学の学生さんと職員さんが作った作品の説明です。
「ここにいます」
山本朝子
個人は同化せずにそれぞれでありながら、ひとつの海の中で繋がっている、というさつきさんのテーマに共感しました。
同化と共生は違うし、分断と多様も違う。世界の中に存在する私やあなたは、同じものから出来ていて、あなたに出逢うことは私に出逢うことではないか。
シューレ大学で過ごす中で学びとることの多くは「あなたはわたしわたしはあなた」ということです。
いろんなものやことが分断され、ただ一人だと思わされる社会があるけど、下を見てみると同じ海に浮かんでいたのだと感じたい。
そんなわけで、いろんな物や人と反射し合い出来上がる「しま」にしました。
そして、いろんな光を乱反射して「ここにいるよー」ということもアピールしたい。
「心模様」
脊尾花野
シューレ大学では自分の関心や大事にしたいことを掴むということや、自分自身を知りたいという思いを持ちながら日々活動をしています。
色んな自身の経験からくる葛藤や考えづらさが、知りたいことを見えつらくさせていたりするようなそんな心模様を森のようにして表現してみました。森の中では見えづらいこともありつつも、ある所では安心したりもする、そんな森です。枯れ草をどけてみたら、あの木の後ろに、実はあんな高いところに、私の見たいものがあるのかも…、しかも見たいものの形は色々だったりして…、色んな可能性を思いゴチャゴチャさせています。私のことを知ることは一人だけで知らなくてもいいし、他者の影響で私も変化している、変化できるようなそんなしまにしたかったです。
私は色んな人と繋がって生きていきたいと思っています。でも、怖くてびくびくしてしまうのですが、それでも森のような今の自分の中から見つけた大事な部分をゆっくりと見つけ出し、その大事にしたいものを持ちながら人と繋がりたいという思いを、ニュ~っと突き出した部分であらわしました。手を伸ばすイメージです。
今回のコラボレーションでの今井さんとの出会いや、普段立体作品を作ることがなかったので楽しかったです。
イメージした思いを形にしてみたら、ここはこう!これは違うな~など、思いのほか自分の中にイメージがあるんだなというのも面白かった。
人と作るということ、人と繋がれる作品作りは手探りですが、とても貴重な経験でした。ありがとうございました。
「空洞のあるしま」
こいけひろむ
人と関わるのは難しい。良かれと思ってやったことが相手からしたら逆に迷惑だったり、そっとしとこうと思って何もしなかったらそれはそれで傷つけたり。
自分にしてもそうです。何かしてほしい時に何かされたら嬉しいけど、ほっといて欲しい時に構われたら「うるさいなあ!」と怒ってしまうこともしばしばです。
ややこしい。
この島の空洞の中にいる人たちは、何を求めてるのだろうか?また何も求めてなかったりするのだろうか?
ありがた迷惑な行為や、あえて何もしないような気遣いにも、その行為自体はうまく伝わらなかったとしても、気にしている、されているという「関係を築こうとしている気持ち」を相互に感じ合えたらいいなあと、私はそんなことを思っていたのかもしれないなと、完成した島を見て思います。
あなたなら空洞の中の彼らに、何をしてあげたいでしょうか?物だったり気持ちだったり何でもいいです。助け船の中にあるプラ板に書いて、穴から入れてみてください。
「ぐるぐる、まきまき」
長畑洋
私はシューレ大学で、自分の切実な生き難さに向き合い、研究的手法で解明していこうとする自分研究を中心的な活動にしています。
同時に最近は、演劇や絵を描くことで、自分の言葉にならない切実な思いを表現し、周りの人たちからの反応をもらうことで自分と向き合おうと試みています。
今回の「しま」製作も、そうした試みの一つでした。
私は自分の中で、いろんな思いが、相反するようないろんな葛藤が絡まりあい、捩れあうような感覚を抱く時があります。
「こうしたい」「でも、できない」「悔しい」「うらやましい」「こうなりたくない」「でも、なってしまう」「切ない」……。
そして、そうした葛藤は、自分とは違う色の人たちと出会い、過ごす中で沸き起こってきます。
その難しさを感じつつも、しかし、暖かく他の人といろんな繋がりを結んでいけたら。
そんな思いで、この「しま」をつくりました。
自分とは違う形で表現を続けてきた今井さつきさんとおしゃべりをしたり、アドバイスをもらったりする中で「あ、こんなやり方もあるんだ」と、新鮮な発見もあり、自分のやりたいことをより明確にできた気がします。
自分の内面を見つめて表現するという、一見孤独な作業においても、他の人と一緒にやることで、自分の内面をよりクリアに捉えることができたのは、とても解放的な体験でした。
とても楽しかったです。
「うさぎ七転八倒」
坂本ゆい
走って、転んで、立ち止まって、
「もうダメ」と言いながらも、
うさぎは今日も進みます。
誰かが居るから、進んで行けます。
うさぎはどこから見始めていただいても良いです。
お時間があったら、物語をつくってみてください。
「春の夢を見る島」
朝倉景樹 ・今井さつき
青い海に浮かぶ草色の島。この島は横になるための島です。この海と島をつくった人たちの持ち物が天井に万華鏡(作:今井さつき)の映像として浮かんではその姿を変えているのです。ひと時、この草の島に頭を載せて、眼を閉じたり、あるいは眼を閉じた気持ちになって天井というまぶたに浮かぶうたかたの形をご覧ください。なにやらゆかしい香りもそして鳴っているはずのない波の音も聞こえてくるかもしれません。